どうも、とんマヨです。大阪で民泊を運営しながら、このブログを書いています。

民泊を運営していると、清掃の写真がどんどんたまっていきます。私はこれまで、清掃をお願いしている方とLINEでやり取りしていました。撮った写真をアルバムに入れてもらって、それを見て確認する。シンプルで、誰でも使えて、不満もありませんでした。

——アルバムが上限に達するまでは。

ちめん太
ちめん太

LINEのアルバムって、上限あるんですか?

とんマヨ
とんマヨ

あるんやこれが。しかも「もう入りません」て言われて初めて知るタイプのやつ。

そこで、清掃スタッフ専用のアプリを作りました。AIと一緒に、だいたい1日です。

ただ、この記事で書きたいのは「AIですごいものが作れました」という自慢話ではありません。むしろ逆で、作ったあとに自分で何度も削って、作り直した話です。個人的には、そっちのほうがずっと学びがありました。

🧺 LINEのアルバムが「上限です」と言ってきた

清掃が終わるたび、写真を送ってもらっていました。玄関、リビング、各寝室、水回り、ゴミ置場。1回あたり十数枚です。

月に何回も清掃があるので、写真は毎月まとまった枚数で増えていきます。それを1つのアルバムに入れ続けた結果、ある日ついに上限に達しました。

そのとき初めて、この方法の弱点に気づきました。

  • 写真がたまるほど、目的の1枚にたどり着けない
  • 「先月の冷蔵庫の中」を探そうとしても、日付をたぐるしかない
  • チェックリストは別の場所にあるので、写真と対応していない
  • やり取りの履歴が、他の連絡に埋もれていく

LINEが悪いのではありません。LINEは連絡ツールとしては最高です。ただ、記録を残して後から探す道具ではなかった、というだけの話です。

📸 そもそも、清掃の写真はなぜ必要なのか

ここは民泊をやっていない方には伝わりにくいところなので、少し説明させてください。清掃の写真には、大きく3つの役割があります。

1つめは品質の確認です。次のゲストが来る前に、部屋がちゃんと整っているかを確認します。ホストが毎回現地に行けるとは限りません。

2つめは証拠です。備品の破損や汚損があったとき、宿泊サイトに費用を請求することがあります。このとき「清掃前はこうだった」「清掃後はこうだった」という記録がないと、話が始まりません。しかも請求には期限があるので、後から探して見つからない、では間に合いません。

3つめは引き継ぎです。清掃をお願いする方が変わったとき、写真とチェックリストが残っていれば「うちの標準」を渡せます。口頭だけだと、必ず抜けます。

ちめん太
ちめん太

つまり写真は「見て安心する」だけのもんちゃうんですね。

とんマヨ
とんマヨ

そうやねん。あとで効いてくるやつ。せやのにワイ、それをアルバムに放り込んで満足しとった。

🚧 清掃の人に渡す情報は、最小限にしました

アプリを作ると決めたとき、機能より先に決めたことがあります。清掃してくださる方に、何を見せないかです。

民泊の管理画面には、予約者の名前、国籍、宿泊料金、連絡先まで全部入っています。清掃アプリを管理画面とつなげば、それを全部表示することもできました。技術的には、そのほうが簡単です。

でも、清掃に必要な情報はそこではありません。必要なのは次の3つだけでした。

渡す情報 なぜ必要か
当日退室する人数 洗濯物の量の目安になる
当日また入室があるか 時間の締切が変わる。同じ日に次の方が来るなら、夕方までに終わらせる必要がある
次に来る人数 歯ブラシやスリッパを何セット置くかが決まる

名前も、国籍も、金額も要りません。だから最初から表示しない設計にしました。

これは相手を信用していないという話ではまったくありません。渡していない情報は、漏れようがないという、それだけの話です。人を信じるかどうかと、仕組みで守るかどうかは、別の問題として考えたほうが健全だと思っています。

🔐 ログインの仕組みづくりについて

次に考えたのが、ログインの仕組みです。

清掃の手順には、ネットに公開してはいけない情報がどうしても含まれます。鍵の保管場所、設備の場所、Wi-Fiの情報などです。誰でも開けるページに、これらを書くわけにはいきません。

つまり、ログインの仕組みは「あったら安心」ではなく必須でした。

ここで非エンジニアがやりがちなのが「合言葉を1つ決めて、それを入力させる」という自作の入口です。私も最初、それでいいと思っていました。

とんマヨ
とんマヨ

合言葉を「seisou2026」とかにしといたらええんちゃう?

ちめん太
ちめん太

それ、今このブログに書いてしもてますやん。

結果として、この部分もAIに設計してもらえました。

「自分で作ったらいけないところはある?」と聞いたところ、パスワードを自作する案はきっぱり止められて、代わりに既製の認証サービスを使う設計を出してきました。使ったのはCloudflare Accessという仕組みです。

ちめん太
ちめん太

クラウドフレア……アクセス……?もう帰ってええですか?

とんマヨ
とんマヨ

待って待って。要するにマンションのオートロックや。「このメールアドレスの人だけ入れます」ていう名簿を登録しといて、それ以外は玄関で止まる。ワイが玄関を手作りせんでええねん。

ちめん太
ちめん太

なんや、それやったら分かります。で、とんマヨさんはその仕組み理解してるんですか?

とんマヨ
とんマヨ

してへん。せやから聞いたんや。分からんまま自作するのがいちばん危ないやろ。

使うときは、登録したメールアドレスを入れて、届いた数字を入力するだけです。次からはしばらく自動で通ります。作る側の手間も、使う側の手間も、ほぼありませんでした。

ここは声を大にして書いておきたいところです。非エンジニアでも、AIに聞けば「自分で作ってはいけない部分」を教えてもらえます。自作アプリの危ないところは、たいてい作った本人が危ないと気づいていない点にあります。この話は以前の記事でも書きました。

🤔「LINEで十分では?」「有料サービスでは?」

ここまで読んで、こう思った方は多いと思います。私も途中で3回くらい思いました。

「アプリまで作らなくても、LINEでよくない?」

ここで先に白状しておくと、うちは1軒だけの民泊です。清掃をお願いしているのも1人。規模でいえば、いちばん小さい部類です。

つまり「アプリなんて要らないだろう」と言われる側の代表みたいな立場です。それでもあっという間に限界がきました。

ちめん太
ちめん太

1軒でパンクするんですか。じゃあ何軒もやってる人どうしてはるんやろ。

とんマヨ
とんマヨ

それがワイも知りたいねん。みんな我慢してるんちゃうか。

もちろん、こまめに削除すれば使い続けられます。ただ、これには2つ問題があります。

1つは単純に面倒くさいことです。清掃のたびに古い写真を選んで消す作業が発生します。運営の本題ではありません。

もう1つのほうが深刻で、消した写真は証拠として使えません。前の章で書いたとおり、清掃の写真は破損や汚損があったときの記録でもあります。容量を空けるために証拠を消すというのは、順番が逆になっています。

それと、これは作ってみて初めて分かったことですが、チェックリストと写真が同じ画面にあることの効果は、思ったより大きいです。LINEだと「チェックリストは紙かPDF、写真はアルバム」と場所が分かれます。分かれているものは、必ずどちらかが更新されなくなります。

では、有料サービスを使えばいいのでは?

これも当然の疑問です。というより、民泊の清掃管理には専用サービスがすでにいくつもあります。調べてみると、こんな感じでした。

サービス 特徴 料金の目安
ヤドツギ 予約が入ると清掃タスクが自動作成。リネン在庫やスタッフへの精算まで一元管理 1〜3室で月3,000円(税抜)から/14日間の無料トライアルあり
WorClean 清掃前後の写真、撮影箇所ごとの記録、忘れ物の申し送り。清掃費用の自動集計や請求データまで 物件数や機能に応じた個別見積もり(年間契約)
Matomeria Stay 写真報告とPDF報告書、予約カレンダーとの連携で清掃予定を管理 無料プランあり

正直、どれもよくできています。物件数が多い方や、リネンの在庫管理や精算まで任せたい方は、こちらを選んだほうが早いと思います。

それでも自分で作った理由は、費用ではありませんでした。

使いにくいところを、その日のうちに直せるからです。

既製のサービスだと「この項目、うちには要らないんだけどな」と思っても、消せません。要望を出して、いつか対応されるのを待つことになります。自分で作ったものなら、その日に消せます。

🧹 あえて「自動で依頼が飛ぶ」ようにはしませんでした

清掃管理サービスの売り文句でよく見かけるのが、「予約が入ると、清掃タスクが自動で作られる」という機能です。前の章で挙げたサービスにも入っています。便利そうに見えます。

ただ、うちはこれを作りませんでした。予約情報と連携させて、自動で清掃会社に依頼が飛ぶ形にはしていません。

理由は単純で、私は毎回必ず外注しているわけではないからです。自分でできるときは、自分で掃除しています。

予約から自動で依頼が飛ぶ仕組みにすると、自分でやるつもりの日にも依頼が飛んでしまいます。毎回それを取り消す作業が発生するなら、自動化した意味がありません。

ちめん太
ちめん太

自動にせんの?せっかく作るのに。

とんマヨ
とんマヨ

自動でやってほしいのは「毎回おんなじことする」ときやろ。ワイの場合、そこが毎回ちゃうねん。

そこで依頼は手動にしました。カレンダーを見て「この日はお願いしよう」と決めたときだけ、ボタンを押して依頼が飛ぶ形です。押した分だけ、相手の画面に予定として現れます。

カレンダーを見ながら、自分で掃除する日と依頼する日を仕分けしているイラスト
ほうきの日は自分で、手を挙げている日はお願いする。この仕分けがあるから自動化しませんでした

自動化が正しいのは、毎回同じことをする場合だけです。自分の運用が毎回違うなら、手動のほうが正しいこともあります。

そして、この判断ができたのも自作だからでした。既製のサービスでは、自動連携はたいてい看板機能として最初から入っています。もちろん止められる場合もあるでしょうが、「うちの運用はこうだから、この機能は作らない」と決めるところから始められるのは、自分で作るときだけです。

機能を足すのは楽しい作業です。ただ、あえて作らないと決めることも設計の一部だと感じました。

🔁 たたき台は「悪くはないが、とても使いづらい」ものでした

さて、ここからが本題です。

AIが最初に組み立ててきたものは、機能としては悪くありませんでした。チェックリストも並んでいるし、写真も送れる。形にはなっています。

ただ、とても使いづらいものでした。

このアプリを操作するのは、現地にいる清掃スタッフです。しかも道具を持って動きながら、スマホの小さい画面で操作します。デスクで眺めて「よくできている」と言っている場合ではありません。

そこで私は、自分のスマホで画面を開いて、実際に上から下まで触ってみました。そして気づいたところを1つずつAIに投げて、直させました。この壁打ちを、何度も繰り返しています。

たとえば、こんなところです。

  • すべての項目に撮影ボタンが付いていた。多いほうが安心だと思ったが、実際は本当に撮ってほしい数枚が埋もれるだけだった
  • 連絡を書き込む欄がページの上にあった。掃除の途中で何か見つけても、そこまで戻らないと書けない。手が濡れていたら、まず書かない
  • 入室後の手順が細かく並んでいた。プロにとっては当たり前の作業で、読ませる意味がなかった
ちめん太
ちめん太

触ってみるまで分からんもんですね。

とんマヨ
とんマヨ

せやねん。ワイ自分でも清掃やってるから、これは体で分かるとこやった。

ここで生きたのは、自分で清掃を繰り返してきた経験でした。どこで手がふさがるか、どのタイミングでスマホを見る余裕がないか。これはAIには分かりません。私が現場で覚えたことです。

そして、これは民泊に限らない話だと思うのですが——

使いづらい道具は、結局使われません。使われなければ、どんなに立派なチェックリストも意味がなくなります。

だから目指したのは「決められたから使う」ではなく、「このアプリがあったほうが便利」と思ってもらえる状態です。そこに近づくまで、改修を繰り返しました。

🔔 清掃スタッフ用と、オーナー確認用は分けました

もう1つ、進めるうちに分かった大事なことがあります。

私は最初から「これは清掃する人の道具で、自分はほとんど開かない」という前提で考えていました。私が知りたいのは「清掃が終わったか」と「何か問題がなかったか」の2つだけです。それなら、開いて確認するより、向こうから知らせてもらったほうが早い。

ところがAIはその前提を持っていませんでした。オーナーも同じ画面を見て操作する想定で作ってきます。だから途中まで、話がどうも噛み合いませんでした。

ちめん太
ちめん太

え、そこズレたまま進んでたんですか。

とんマヨ
とんマヨ

ズレとった。ワイの頭の中にしかない前提やったからな。

とんマヨとAIが形の違うパズルのピースを持っていて噛み合わないイラスト
前提がズレていると、いくら指示を出しても噛み合いません

そこで「このアプリは清掃スタッフ専用。オーナーは通知だけ受け取る」とはっきり伝えたところ、一気に整いました。今は清掃スタッフ用のアプリと、私が数字を見る管理画面は別々になっています。

通知の決め方も、この前提から自然に決まりました。

  • 清掃が完了したとき → 知らせる
  • 気づいたことを書き込んでもらったとき → 知らせる
  • 写真が1枚アップされるたび → 知らせない

3つめが地味に大事だと思っています。写真は毎回十数枚あるので、1枚ずつ通知が来たら、私は間違いなく通知を切ります。そして一度切った通知は、二度と見ません。

完了の知らせには、3つの簡単な質問への回答を載せるようにしました。部屋の汚れ具合、ゴミの分別、ハウスルールが守られていたか。これはゲストへのレビューを書くときの材料になります。掃除をする人のほうが、ホストよりずっとゲストの生活の跡を見ているからです。

この章がいちばんの学びでした。

AIは指示されたことは作りますが、こちらの頭の中にある前提は読んでくれません。「誰が、どこで、何のために使うのか」を先に伝えるだけで、出てくるものが変わります。

正直に書いておくと、このアプリはまだ本格運用が始まっていません。実際に使ってもらうのは来月からです。だから「これで清掃が良くなりました」とは、まだ書けません。使ってもらえば、また直すところが出てくると思います。そのときは、また書きます。

✅ まとめ:AIに前提を渡すところまでが、こちらの仕事

非エンジニアがAIで自分用の道具を作ってみて、残った学びはこの4つです。

  • ネットに出せない情報を扱うなら、ログインの仕組みは必須。そしてその設計も、自作せずAIに相談すれば出てくる
  • たたき台は使いづらいのが普通。機能が揃っていることと、現場で使えることは別
  • 自分の現場経験が、いちばんの武器になる。どこで手がふさがるかは、やった人にしか分からない
  • 便利そうな機能をあえて作らない判断も設計の一部。自分の運用が毎回違うなら、自動化しないほうが正しい
  • 頭の中の前提を、先に言葉にして渡す。「誰がどこで使うのか」を伝えていないと、いつまでも噛み合わない

AIがあれば、形にするのは1日でできます。こちらの仕事として残るのは前提を渡すことと、実際に触って直し続けることのほうでした。

これは民泊の道具に限らないと思います。AIで何かを作ってみたい方は、完璧なものを目指すより、雑でもいいので早く形にして、自分で使ってみてください。使えば必ず不満が出ます。その不満を、その日のうちに消せるのが自作の強みです。

ちめん太
ちめん太

で、来月から使てもらうんですよね。楽しみですね。

とんマヨ
とんマヨ

楽しみ半分、怖い半分やな。また直すとこ出てくるんやろな。

ちめん太
ちめん太

そのときはまた記事にしましょ。ネタが増えてラッキーやないですか。

また報告します。