どうも、とんマヨです。大阪で民泊を運営しながら、このブログを書いています。

前号で「次は10月30日の条例の施行と、10月中旬に出る7〜9月の消費額を見にいく」と書きました。消費額はまだ出ていません。代わりに、ホテルの値段のほうが先に答えを出してきました。

9月の大阪のビジネスホテルは、1泊およそ8,900円。前年より34%安い。ところが2年前と比べると、1%高い。

要するに、万博の前の値段に戻っただけです。

とんマヨ
とんマヨ

34%安い!? ほなうちも3割下げなあかんのちゃうん?

ちめん太
ちめん太

とんマヨさんの宿、去年の9月はまだ開業してませんよね。

とんマヨ
とんマヨ

……せやった。ワイ、万博の年を知らんねや。

ちめん太
ちめん太

それが今回いちばん強い材料です。今週は「何と比べるか」の話をします。

🏨 大阪のホテル代は「万博の前」に戻った

ホテルバンクが10月10日に出した集計によると、大阪のホテルの7〜9月の平均単価(推定の成約価格)は、前年比でこうなっています。

9月の大阪前年比(2025年=万博の年)前々年比(2024年)
ビジネスホテル
(約8,900円)
−34.0%+1.0%
シティホテル
(約1万3,100円)
−21.8%+15.4%

出典:ホテルバンク「大阪の確定7〜9月ADR」(2026年10月10日)

前年比だけ見ると、3割も安くなった惨事です。前々年比で見ると、ビジネスホテルは据え置き、シティホテルはむしろ15%高い。同じ数字です。比べる相手を変えただけで、惨事が好調に化けます。

2024年を100として、絵にするとこうなります。

大阪ホテルの9月の平均単価(2024年=100) 100 0 100 2024 153 2025 101 2026 ビジネスホテル 100 2024 148 2025 115 2026 シティホテル
ホテルバンク(10月10日)の前年比・前々年比から逆算。2025年は万博の会期中(4〜10月)

去年だけが突き出た「島」です。島の高さと今年を比べて落ち込むのは、宝くじが当たった翌年に「収入が9割減った」と嘆くのと同じです。

うちの宿は去年の12月末に開業しました。万博の年の値段を1泊も売っていません。だから前年比で落ち込みようがない。開業が遅れて得をしたのは、これが初めてです。

ただ、市内でも場所でかなり違います。同じホテルバンクの9月26日の記事では、6〜8月の平均単価を前々年比で区ごとに見ると、天王寺区が+8.7%、此花区が−18.7%。上と下で27ポイント開いています。万博の会場に近い区ほど、去年の上振れも今年の戻りも大きい。「大阪は」とひとまとめに語る人の話は、自分の区の数字で読み替えたほうが安全です。

もうひとつ、曜日の差です。9月の大阪のビジネスホテルは、土曜の稼働が83.7%、日曜が67.9%。連休を除いても日曜に15ポイント以上の谷があり、その差は45日前の時点ですでに6〜11ポイント開いていたそうです。直前の値引きで埋まる谷やない、ということです。

玄関から誰もいない道を心配そうに眺めるとんマヨと、白紙のカレンダーを持って座るちめん太

🧧 国慶節、中国のお客さんは日本を5番目に選んだ

10月1〜7日は中国の国慶節の連休でした。中秋節とつなげると、最大13連休です。

中国の旅行会社の予測では、この連休の国際線の予約は前年比22.5%増。海外旅行そのものは、むしろ盛り上がっています。

では、どこへ行ったのか。中国10都市の5,471人に8月に聞いた調査では、海外旅行を予定する人の行き先はこの順でした。

  • 韓国 20.4%
  • ヨーロッパ 17.7%
  • 東南アジア 17.2%
  • オーストラリア 15.2%
  • 日本 14.1%(5位)

去年の11月に中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけてから、ほぼ1年です。8月は日中の18路線が全便運休、欠航率は30.1%。7月からはビザの手数料が5倍になったと報じられています。1〜8月の訪日中国人は前年の半分以下(−56.7%)です。

来にくい、高い、飛ばない。三拍子そろって、それでも14%の人が日本を選びました。健気です。片や受け入れる側のわたしたちは、万博の年の値段が忘れられず、前年比を眺めては落ち込んでいます。健気さで負けているのはこちらです。

中国の航空各社は、日本路線の無料キャンセルを10月24日まで延ばしています。この日付が次にどう動くかが、年末の中国客を占う目安になります。

とんマヨ
とんマヨ

国慶節、うちにも中国のお客さん来んかったわ。やっぱり自粛の影響やな。

ちめん太
ちめん太

その週、1日から3日までと5日からは別の国のお客さんが泊まってました。空いてたのは3日と4日の2晩だけです。

とんマヨ
とんマヨ

……その2晩に来てほしかったんや。

🏠 大阪市の旅館業条例は、全会一致で決まった

前号で「9月30日に決まる予定」と書いた大阪市の旅館業条例の改正は、予定どおり9月30日に可決されました。全会一致です。10月2日に公布、10月30日に施行です。

中身は前号のとおり3つです。

  • 住んでいる人がいる建物で新しく旅館業をやるなら、原則として鉄筋コンクリート造か鉄骨鉄筋コンクリート造
  • 宿泊者がいる間は、営業者か従業員が施設に常駐する
  • 近所に知らせる義務のある施設の広さを33㎡未満から200㎡未満に広げ、騒音対策と緊急時の対応も知らせる

市の説明では、特区民泊への騒音の苦情のうち、8割超が木造か鉄骨造の施設に集まっていたそうです。壁の薄い家で宿をやると苦情が来る。知っていました。市も知っていました。条例になるまでに苦情が8割溜まった、というだけです。

大事な線が1本あります。この条例は旅館業の話で、特区民泊と住宅宿泊事業(新法民泊)にはそのまま適用されません。うちは特区民泊なので、今回の3つは直接はかかりません。ただ、特区民泊のほうは3月にガイドラインが改正されて運営管理の項目が増えています。「自分の制度やから関係ない」で済む期間は、そう長くないと思っています。

新しく宿を始める側には、きつい変更です。大阪市内で民泊を始める道は、5月に特区民泊の受付が止まり、10月に旅館業の壁が上がりました。残るのは年180日の新法民泊だけです。

小さな木造の家を物差しで測って慌てるとんマヨと、白紙の規則集を開いて見せるちめん太

ちなみに全国の新法民泊は、9月15日時点で届出6万7,932件、廃止2万4,895件、残っているのが4万3,037件。2か月で967件増えています。届け出た人の37%がやめている商売です。それでも増えている。

📊 7月の大阪は宿泊者が15%減。それでも簡易宿所の稼働は全国1位

観光庁が9月30日に出した宿泊旅行統計(7月の確定値と8月の速報値)です。

2026年7月大阪府全国
延べ宿泊者数410万人泊(−14.9%)5,397万人泊(−4.7%)
うち外国人180万人泊(−10.5%)
外国人比率 43.8%
1,331万人泊(−6.5%)
客室稼働率(全体)72.6%(全国2位・−2.3pt)61.0%
簡易宿所の稼働率57.2%(全国1位)30.0%

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査(2026年7月・第2次速報)

人数は東京より大きく減っています。全国が−4.7%のところ、大阪は−14.9%。これも「万博比」です。去年の7月は会場が開いていました。

それでも稼働率は72.6%で全国2位。簡易宿所に限ると57.2%で全国1位、全国平均のほぼ2倍です。民泊に近い小さな宿が、大阪ではいちばん埋まっている。減ったのは人数で、部屋の埋まり具合やない。ここは分けて読みたいところです。

8月の全国の速報は、延べ宿泊者6,268万人泊(−6.7%)、外国人1,264万人泊(−10.3%)、稼働率64.4%。8月は訪日客が1割減った月なので、宿泊もそのまま1割減です。大阪の8月の確定値は、10月末に出ます。

💴 円は158円前後、燃油は来週決まる

今週のドル円は157円43銭〜158円50銭。1円の幅に収まった、静かな週でした。来週の予想は156円50銭〜159円50銭で、14日の米国の物価指数と15日のG20が山場です。日銀の10月の利上げ観測も残っています。

9月に利上げしても円は戻らなかった、と前号に書きました。1か月たって、やはり戻っていません。海外のお客さんから見た日本の安さは、この秋も続きます。

燃油サーチャージは、11〜12月の発券分が10月中旬に発表されます。8〜9月の燃油の値段で決まる仕組みなので、下がった9〜10月分より大きく上がる要素は、今のところ見当たりません。

とんマヨ
とんマヨ

ほな、11月のお客さんは安く飛んで来れるんやな。よっしゃ、11月は強気の値段で……

ちめん太
ちめん太

11月はもうほぼ埋まってます。強気にする部屋が残ってません。

📌 まとめ:値段の基準を「去年」から「2年前」に置き換える

  • 9月の大阪のホテル単価は前年比−34%(ビジネス)、でも前々年比は+1%。落ちたんやなく、万博前に戻った
  • 区ごとの差は27ポイント。日曜の谷は45日前から開いている
  • 国慶節の中国客は、行き先の5位に日本。無料キャンセルの期限10月24日が次の目安
  • 大阪市の旅館業条例は全会一致で可決、10月30日施行。特区民泊と新法民泊にはそのまま適用されない
  • 7月の大阪は宿泊者−14.9%でも、簡易宿所の稼働は57.2%で全国1位
  • 円は158円前後、燃油は11〜12月分が来週発表

結論:この秋、値段の比較相手は「去年」やなく「2年前」。前年比で下げると、万博の島の高さぶんを自分で捨てることになります。

うちの宿は万博の年を知らないので、比較相手がそもそもいません。12月の上限は、これまでいちばん高く売れた1泊の値段に置いています。それより上には行かず、それより下は、直前の割引に任せる。11月はほぼ埋まり、12月は最初の予約が入ったところです。

次に見るのは、10月15日ごろに出る9月の訪日客数、7〜9月の消費額、10月24日の無料キャンセルの期限、10月30日の条例の施行。この4つです。

とんマヨ
とんマヨ

ワイ、万博の年を知らんから前年比で落ち込まんで済む。開業が遅れたんも作戦やったんや。

ちめん太
ちめん太

万博が閉まったのが去年の10月13日。開業は12月26日です。2か月半、遅れてます。

とんマヨ
とんマヨ

……狙ったんや。

ちめん太
ちめん太

次号は9月の訪日客の数字が出てからにしましょう。15日ごろです。