どうも、とんマヨです。関西で民泊を運営しながら、このブログを書いています。
うちの宿は一軒まるごと貸しで、値段は自動で決めるツールに任せています。ツールには「最低価格」という設定があります。どれだけ空いていても、この値段より下には絞らない、という線です。
この夏まで、その線は4,600円でした。理由は簡単で、ツールの推奨がそのくらいで、近所の宿もそのくらいだったからです。
ところが夏に、手数料と清掃費を引いたあとに残るお金を計算し直したら、4,600円で満室にしても家賃が払えないことが分かりました。満室で赤字です。
今回は、その計算の中身と、最低価格をどう決め直したか、2か月たってどうなったかを書きます。数字は全部うちの宿の実額です。
🏷 最低価格は、相場を見て決めていました
うちの宿の値段は、値付けツール(PriceLabs)が毎日決めています。周りの宿の値段と埋まり具合を見て、日ごとに上げ下げしてくれる仕組みです。
わたしが決めるのは、基本の値段と、上限と、下限の3つだけです。この「下限」が最低価格です。
夏の時点の最低価格は4,600円でした。ツールが「この地域ならこのくらい」と出してきた数字を、そのまま入れていました。近所の似た宿を見ても、閑散期は4,000〜5,000円台で売っています。相場どおりです。
相場どおりに決めると、安心します。自分で考えていないからです。
ほら、周りと同じ値段やったら、少なくとも損はせえへんやろ。
周りの宿の家賃、知ってるんですか。
知らん。
ほんなら、周りと同じ値段で損しないかどうかも、分からないはずです。
8月の初めの話です。夏の閑散期で、空いている日がいくつもありました。値付けツールは空きを埋めようとして、どんどん値段を下げます。下限に張りつく日が出てきました。
1泊4,700円、5,400円。予約は入ります。入るのですが、入るたびに、なんとなく疲れます。理由が分からないまま疲れているのは、だいたい計算をしていないときです。
🧮 表示価格から手残りまで、4段階で引いてみた
そこで、ゲストが払う値段から、わたしの手元に残るお金までを、1段ずつ引いていきました。計算は AI に表を作らせています。わたしがやったのは、数字を渡すことと、途中で「清掃費にも手数料って乗るんやっけ」と気づいたことだけです。
段階は4つです。
- 表示価格。ゲストが検索で見る1泊の値段
- 割引。うちは評価の高いゲスト向けに15%の割引を常時つけています。これが宿泊料に乗ります
- 予約サイトの手数料。うちの場合は15.5%。しかも宿泊料だけやなく、清掃費を含めた総額に乗ります
- 清掃費の実費と、1泊あたりの変動費。清掃は外注で1回8,000円。水道光熱費と消耗品は、過去3か月の実績で1泊あたり約970円でした
2泊1組で、表示価格ごとに並べるとこうなります(割引15%あり・清掃費は1万円を徴収・清掃の実費8,000円と変動費を引いたあと)。
| 表示価格(1泊) | ゲストの支払い | 手数料後の入金 | 手残り(2泊) | 1泊あたり |
|---|---|---|---|---|
| 4,600円(旧下限) | 17,820円 | 15,058円 | 5,118円 | 2,559円 |
| 5,500円 | 19,350円 | 16,351円 | 6,411円 | 3,206円 |
| 6,000円 | 20,200円 | 17,069円 | 7,129円 | 3,565円 |
| 7,000円(今の下限) | 21,900円 | 18,506円 | 8,566円 | 4,283円 |
| 9,200円(基本の値段) | 25,640円 | 21,666円 | 11,726円 | 5,863円 |
4,600円で売ったとき、わたしの手元に残るのは1泊2,559円です。ゲストの支払いの半分強が、手数料と清掃と光熱費で消えています。
表示価格を見て「4,600円でも入れば御の字」と言っていた自分と、2,559円を見ている自分は、同じ宿の話をしています。

🧹 清掃費は、もらっているつもりで払っていた
表を作っている途中で、もう1つ出てきました。清掃費です。
うちは清掃を外注していて、1回8,000円です。ゲストからも清掃費として8,000円をもらっていました。もらった分をそのまま渡す。きれいな話です。
きれいなのは話だけで、お金はきれいに流れていませんでした。清掃費8,000円にも手数料15.5%が乗るので、手元に入るのは6,760円です。そこから8,000円を払うと、清掃のたびに1,240円の持ち出しでした。
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ。清掃費を取ってるのに、清掃のたびに払っとった。
開業から何回、清掃しましたか。
……数えたくない。
数えなくても、8か月ぶん払ってます。
清掃費は1万円に上げました。1万円から手数料を引くと8,450円、実費8,000円を払って残り450円です。黒字と呼ぶには小さいですが、払う側から、もらう側には移りました。
ちなみに値付けツールは、このとき「清掃費を5,520円に下げましょう」と提案してきました。近所の宿がそのくらいだからです。従っていたら、1回あたり3,300円ほどの持ち出しになっていました。ツールは相場を知っていますが、うちの清掃の人の請求額は知りません。
🏠 家賃で割ったら、満室でも足りなかった
手残りが分かったので、次は固定費です。うちの固定費は、家賃とネット回線で月に10万円弱です。1泊あたりの手残りで割ると、月に何泊埋めたら家賃が払えるかが出ます。
| 表示価格(1泊) | 固定費が回る泊数(月) | 必要な稼働率 |
|---|---|---|
| 4,600円 | 37泊 | 1か月は30日しかない |
| 5,500円 | 30泊 | 毎日埋まって、やっとゼロ |
| 6,000円 | 27泊 | 約90% |
| 7,000円 | 23泊 | 約75% |
| 9,200円 | 17泊 | 約55% |
4,600円では、毎日埋めても家賃に届きません。1か月は30日しかないからです。5,500円で毎日埋めて、やっとゼロ。
わたしは半年以上、「満室にしたら勝ち」の値段で、満室を目指していました。ゴールテープの向こうが赤字でした。
念のため書いておくと、これは割引15%が乗った前提です。割引が乗らないゲストなら、7,000円で18泊くらいで届きます。ただ、割引の乗る予約は実際に多いので、きつい方の数字で線を引きました。
📏 最低価格を2日で2回上げた
ここまで出れば、あとは数字を入れるだけです。最低価格を4,600円から5,500円に上げました。変動費と清掃費を回収できる、最後の線です。
翌日、もう一度表を見て、7,000円に上げました。5,500円は「赤字にならない線」であって、「家賃が払える線」ではなかったからです。2日で2回動かしたのは、1日目の自分が怖がっていたからです。

ちょい待て。下限を7,000円に上げたら、空いとる日が売れへんやろ。稼働率が命って言うたんは誰や。
とんマヨさんです。
せやろ!ほな下限上げたら稼働落ちるやんけ。自分で自分の首を絞めとる。
下限って、売値ですか。
……ちゃう。これ以下では受けへん、って線や。
普段の売値は基本の9,200円から、ツールが日ごとに決めてます。直前の割引20%も、そのまま残してます。
ほな、下限を上げて変わったんは。
「2,559円で売る日」が無くなっただけです。
ここは、わたしが長いこと混同していたところです。最低価格を上げることと、売値を上げることは、別の操作です。売値はツールが相場を見て決めますし、空きが近づけば直前割引で自動的に下がります。そこは触っていません。
最低価格が決めているのは、「いくらまでなら受けるか」だけです。その線の下で入る予約は、1泊2,559円の予約です。埋めても、家賃の足しになる額が小さすぎます。
📈 2か月たって、予約はどうなったか
最低価格を7,000円にしてから2か月で、新しく入った予約は9組でした。1泊あたりの宿泊料(清掃費を除く)は、安いもので5,000円台、高いもので1万円超え、真ん中あたりが7,600円くらいです。
下限が7,000円なのに5,000円台があるのは、直前割引や評価の高いゲスト向けの割引が乗っているからです。下限は表示価格に効く線で、割引のあとに効く線ではありません。ここは次に見直すところです。
月ごとの泊数は、8月30泊、9月24泊、10月23泊、11月は今の時点で29泊です。さっきの表の「7,000円なら23泊」の線には、どの月も届いています。
答え合わせに、同じ4段階の計算を過去の月にも当ててみました。5月は32泊、6月は24泊埋めて、どちらも赤字でした。7月から黒字に変わり、8月以降は毎月、家賃を払ったあとにいくらか残っています。残った額は、まだブログに書くほどの額ではありません。
やった。黒字や。ワイの経営手腕が火を吹いたで。
吹いたのは、清掃費の持ち出しが止まったからです。
……それも経営やろ。
8か月目に気づいたことを経営と呼ぶなら、そうです。
稼働率が落ちたかというと、落ちていません。9月と10月は空いている日を直前の値下げで埋めにいきましたし、11月は先に埋まっています。下限を上げて失ったのは、2,559円の予約だけでした。
🧭 自分の宿でやるときの順番
やったことは、順番にするとこれだけです。1時間あれば終わります。
- 手数料が「何に」乗るかを確認する。宿泊料だけか、清掃費込みの総額か。予約サイトの明細を1通見れば分かります
- 清掃の実費と、ゲストからもらっている清掃費を並べる。もらっている額から手数料を引いて、実費を引く。ここがマイナスなら、最低価格の前にこちらが先です
- 1泊あたりの変動費を出す。水道光熱費と消耗品の合計を、同じ期間の泊数で割る。うちは3か月分で970円でした
- 表示価格ごとの手残りを表にする。常時つけている割引があれば、乗せた状態で。AI に数字を渡せば表は30秒で出てきます
- 固定費を手残りで割る。出てきた泊数が30を超える値段は、満室でも赤字の値段です。その上に最低価格を置きます
5番の表を見て、下限をどこに置くかは宿の方針しだいです。うちは「稼働率75%で家賃が払える線」に置きました。もっと上に置く宿もあるでしょうし、空室が増える時期には下げる判断もあると思います。線を動かすのはかまいません。線を知らずに動かすのが問題でした。
費用は0円です。表をAIに作らせたのは数分でした。作らせようと思うまでに、8か月かかっています。
📌 まとめ:下限は相場やなくて、手残りから決める
- 最低価格4,600円は相場どおりでしたが、手残りは1泊2,559円。満室にしても家賃に届かない値段でした
- 手数料は清掃費を含めた総額に乗ります。清掃費8,000円を取って8,000円払うと、清掃のたびに1,240円の持ち出し。清掃費は1万円に変えました
- 固定費を1泊の手残りで割ると、値段ごとに「家賃が回る泊数」が出ます。30泊を超える値段は、満室でも赤字です
- 最低価格は4,600円から7,000円へ。売値や直前割引はそのまま。変わったのは「受けない予約」が決まったことだけです
- 2か月で9組。稼働率は落ちず、8月以降は毎月、家賃を払ったあとに残っています
最低価格は、相場が決めるものではなく、手数料と清掃費と家賃から逆算して、自分で決める線でした。わたしは8か月、近所の宿の値段で決めていました。
値付けツールの設定でやらかした話は、こちらにも書いています。PriceLabsの設定ミスの記事です。
よし、ほな次は上限や。上限を10万円にしたら、1泊で家賃いけるやん。
入ったら、ですね。
入らんでも、夢は見れる。
この1年で1泊10万円の日、1日もありませんでしたよ。
手残りの表は、AI に作らせるのがいちばん速いです。ただ、いちばん最初の「手数料は総額に乗るんやっけ」のところだけは、電卓を自分で叩きました。その電卓がこれです。
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