どうも、とんマヨです。関西で民泊を運営しながら、このブログを書いています。
2軒目の物件を探しています。先日、候補の1軒について、契約の前に保健所・建築の窓口・消防署を1日で回ってきました。
結果は見送りです。数えてみると、見送りはこれで11件目になりました。
11件目……。もう物件を見るたびに「どうせあかんのやろ」って顔になってきたわ。
今回は契約の前に止まれました。お金を払ってから気づくより、ずっと安く済んでいます。
この記事は、木造3階建てを民泊にするとき、3階を泊まる部屋にできるかどうかを、役所を回って確かめた記録です。そして最後は、建物の話より先にお金の話で止まりました。
🏠 候補は、駐車場付きの木造3階建てでした
候補は、駅から歩ける場所にある木造3階建ての一軒家でした。広さは100㎡ちょっと、駐車場が付いています。
1階と3階に6畳の部屋、2階に広いリビング、3階に10畳の部屋。全部使えば、家族連れやグループを8〜10人泊められる間取りです。
これまでの10件は、大家さんの「民泊はちょっと……」で終わることがほとんどでした。今回は違いました。
大家さんは「民泊に使ってよい」という書面を出してくれる、消防の設備も付けてよい、と言ってくれました。ここまで前向きな大家さんは初めてです。
ただし、条件が1つ付きました。民泊で使うなら、家賃は募集のときより月に数万円上げたい、というものです。
ここは一旦置いて、先に「そもそも3階を使えるのか」を確かめることにしました。
📜 民泊で「3階を泊まる部屋にする」ための条件
わたしが考えていたのは、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)の届出です。年間180日まで営業できる、あの制度です。
この制度には、泊まる人の安全のための決まりがあります。その中に、3階以上を泊まる部屋にするときの条件があります。ざっくり言うと、次のどちらかです。
- 建物が耐火建築物であること
- 延べ面積200㎡未満で、火災の警報設備があり、階段の部分が壁や戸で区切られていること(専門用語で「竪穴区画(たてあなくかく)」)
たてあな……? 縄文時代の家の話か?
それは竪穴住居です。火事の煙は階段を通って一気に上の階へ上がります。だから階段を壁と戸で囲って、煙の通り道をふさいでおく、という意味です。
この物件は「準耐火建築物」でした。名前は似ていますが、耐火建築物とは別物です。なので、1つ目の条件は使えません。
残るのは2つ目、階段が区切られているかどうか。ここが今回の山場でした。

🚶 1日で保健所・建築の窓口・消防署を回った
回った順番は、朝に保健所、次に建築の窓口、昼すぎに消防署です。図面と現地の写真を持って行きました。
保健所:条件を満たせば3階も使える。ただ、区画になっているかは判断できない
民泊の届出を受け付けるのは保健所です。ここで言われたのは、次のようなことでした。
- 条件を満たせば3階も泊まる部屋にできる
- この間取りが「階段が区切られている」に当たるかは、保健所では判断できない。消防か建築士に確認してほしい
- 区切るための戸は木でもよい。ただし煙を通さないこと(すき間をふさぐ、自動で閉まる、下にすき間がない)
- 区切れないなら、3階は立ち入り禁止にして1・2階だけで営業する形になる
この物件の階段は、1階から上がると2階のリビングに出ます。天井から床まで開いていて、壁も戸もありません。リビングを回り込んで、また3階へ上がる形です。
建築の窓口:建物の「正式な書類」を取った
建築の窓口では、建てたときの書類の写しと、完了検査を受けている証明を取りました。
書類には、はっきり「準耐火建築物」と書いてありました。ここで、耐火の道は消えました。
消防署:その場では「区画はいらないと思う」
消防署では、必要な消防設備を確認しました。こちらは思っていたより軽く済みそうでした。
- 消火器は各階に1本
- 小さな宿向けの、無線でつながる火災報知器
- 非常用の照明を4か所。これで誘導灯(緑の非常口のサイン)はいらない
そして階段について聞くと、担当の方の見立ては「階段室がまっすぐ立ち上がっているわけではなく、部屋を通って上がる形なので、基本的には区画しなくていいと思う。ただ、建築士に確認してほしい」でした。
よっしゃ! 消防のお墨付きや! 3階いけるやん!
最後に「建築士に確認を」と付いています。お墨付きではありません。
📩 夕方、消防署からメールが届いた
帰りの電車の中で、わたしはかなり前向きになっていました。
その日の夕方、さっきの消防署の担当の方からメールが届きました。
要点は、建築基準法を確認したところ、おそらく階段の区画が必要、詳しくは建築士を通じて市の建築の部署に確認してほしい、というものでした。
その場での見立てを、わざわざ調べ直して連絡してくれたわけです。ありがたい話です。
ただ、これで3階を使うには、2階の開いた階段まわりに煙を通さない戸を新しく付ける工事がほぼ確実に要る、ということになりました。
賃貸なので、工事には大家さんの承諾が要ります。建築士に見てもらう費用もかかります。保健所がそれで認めるかどうかも、出してみるまで分かりません。
午前と午後で答えが変わるんかい……。
窓口によって見ている法律が違うからです。消防署は消防法、階段の区画は建築基準法の話です。「消防署でOK=建築もOK」ではない、と覚えておきましょう。
🧮 3階が使えても、数字が合わなかった
ここで、置いておいた家賃の話に戻ります。
民泊新法は年間180日までしか営業できません。家賃は12か月払います。民泊用に上がった家賃を180泊で割ってみると、清掃費や手数料を払う前の「1泊あたりの家賃」だけで、かなり重い数字になりました。
| 項目 | 見込み |
|---|---|
| 家賃 | 募集のときより月に数万円高い(民泊で使う場合) |
| 1泊あたりの家賃 | 清掃費・手数料の前から重い(180泊で割った場合) |
| 最初にかかるお金 | 700万円前後(契約・家具と内装・消防設備など) |
| 3階を使えた場合の利益 | 2年目で年35万円前後 |
| 元が取れるまで | 約20年 |
内装費は、最初にAIが150万円と見積もってきました。そんな額で足りるはずがありません。8人分のベッドだけでも、2人用のベッド(1台5万円ほど)4台で約20万円。ソファベッドで約20万円。そこにカーテン、照明、家電、食器、寝具が乗ってきます。9人泊まる想定なら、最低でも250万円はかかるとダメ出しして、250万円で組み直しました。
3階を使えたとしても、700万円を入れて、元が取れるまで約20年。3階を使えなければ、泊まれる人数がほぼ半分になって、毎年赤字です。
民泊に詳しい相談相手と、別のAIにも同じ材料を渡して見てもらいました。どちらの答えも「撤退でよい。建築士の費用も、これ以上かけないほうがいい」でした。
わたしも同じ考えだったので、見送ることにしました。

🙋 「扉を付ければ済む話では?」への答え
ここは、反対の意見として書いておきます。
「戸を1枚付けるだけなら、10万〜50万円くらいで済むのでは。そこで諦めるのはもったいない」という考え方です。
工事の金額だけ見れば、その通りかもしれません。実際、相談相手からも「2階の開いた部分をリビングと区切れば、成り立つ見込みはある」と言われました。
それでもやめた理由は、順番です。
- 工事の前に、建築士に見てもらう費用がかかる
- 大家さんに工事の承諾をもらう必要がある
- 保健所が認めるかは、出してみるまで分からない
- そして全部うまくいっても、家賃と180日の掛け算は変わらない
お金と時間をかけて建物の問題を解いても、その先に「元が取れるまで約20年」が待っています。だったら、同じ700万円は次の物件に回したほうがいい、と判断しました。
📝 次の物件に持ち越すこと
今回、契約前に止まれたことで、次に物件を探すときの条件がはっきりしました。
- 木造3階建ては、内見の前に図面を見る。耐火建築物か、階段が壁と戸で区切られているかを先に確かめる
- 「民泊OK」の物件は、家賃が上がることがある。収支は募集の家賃ではなく、民泊で使うときの家賃で計算する
- 保健所・建築・消防は、見ている法律が違う。1か所の「大丈夫」で安心しない
- 内装はAIの見積もりをうのみにせず、1品ずつ積み上げる。9人泊まる想定なら、最低でも250万円
不動産屋さんにも、次は「耐火建築物か、階段が区切られている物件」「家賃は25万円まで」「小さめの物件やマンションでも可」で探してほしいと伝えました。
そして、2軒目を急ぐより、まずは今の宿をしっかり黒字にすること。そこに戻ります。
過去の見送りの話は、築66年の戸建てを見に行った話にも書いています。
📌 まとめ
- 木造3階建てを民泊新法で使うとき、3階を泊まる部屋にするには耐火建築物か、階段の区画が要る
- 保健所・建築の窓口・消防署を1日で回った。消防署の見立ては、その日の夕方に「区画が必要」に変わった
- 3階が使えても、民泊用に上がった家賃と180日の上限で、元が取れるまで約20年。11件目の見送りにした
建物の問題は、お金をかければ解けることもあります。でも家賃と180日の掛け算は、工事では変えられません。契約の前に、そこまで確かめておくのがおすすめです。
11件見送ったら、もう見送りのプロやな。名刺に書こか。
見送りのプロは、お金が出ていかないだけで、お金も入ってきません。12件目で決めましょう。




