どうも、とんマヨです。大阪で民泊を運営しながら、このブログを書いています。
夏になると、毎年こう思います。「エアコンつけっぱなしにしてるけど、電気代どうなってるんやろ」と。
宿を運営していると、電気代はまるごと自分の経費です。そこで今回、夏の電気代についてどこを削れば効くのかを、公的なデータとうちの宿の実際の請求額から整理しました。
結論を先に言います。エアコンの我慢だけは、絶対にやってはいけません。削るべき家電は、別にありました。
先に言うとくけどな、ワイ暑いのだけは無理やねん。エアコン切るのは絶対無しやで。
それでいいです。むしろ切らないでください。命に関わりますから。
ほな終わりやん。うちの電気代、もう削るとこ残ってへんで。
あります。しかも、いちばん効くやつが手つかずで残ってます。
なんやそれ。はよ言え。
順番に見ましょう。場所を間違えて削ると、しんどいだけで安くなりません。
🔥 そもそも、なぜ電気代は上がり続けているのか
節約の話に入る前に、敵の正体を確認します。電気代が上がっている理由は、大きく3つです。
1つめは、燃料費調整額です。
日本の発電は、いまも火力が主力です。その燃料である液化天然ガスや石炭は輸入に頼っています。燃料の値段や為替の動きが、数か月遅れで請求書に反映される仕組みになっています。円安が進むと、それだけで電気代が上がります。
そして今年、ここに大きな出来事が乗りました。ホルムズ海峡です。
ペルシャ湾の出口にある、幅のいちばん狭いところで30キロほどの海の道です。今年の春、イランの革命防衛隊が封鎖を宣言し、海上保険の引き受けが止まったことで、事実上の封鎖状態になりました。この記事を書いている時点でも、タンカーの通航はほとんど確認できていません。
結果、原油は年明けから一時5割ほど上昇。アジアの液化天然ガスの取引価格にいたっては、2月末から3月にかけておよそ2倍になりました。
いやでも、日本のガスってオーストラリアから買うてるんちゃうんか。中東の海が閉まっても関係ないやろ。
買う場所は関係ありません。値段は世界で決まるからです。
どういうこっちゃ。
近所の魚屋が1軒つぶれたら、残った魚屋に客が殺到して、そこの魚まで高うなるでしょう。同じことです。
実際、日本が輸入している燃料のうち、ホルムズ海峡を通るものの比率はこうなっています。
| 燃料 | 中東・海峡への依存 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 原油 | 中東に93.5% | ガソリン・灯油・プラスチック原料 |
| 液化天然ガス(LNG) | 海峡経由は6.3% | 発電・都市ガス |
ここが分かれ目です。電気を作っているのは主にLNGのほうで、そちらの海峡依存は6.3%しかありません。タンカーが止まっても、日本の発電所の燃料がいきなり枯れるわけではない。
それでも電気代に効いてくるのは、価格が世界の取り合いで決まるからです。産地が無事でも、世界中が同じ場所に買いに走れば、こちらも高い値段で買わされます。
そして燃料費調整額は数か月遅れで反映されます。つまり春に跳ね上がった燃料代が、いまの請求書に乗ってきているところです。
ワイが家でうちわ扇いでる間に、地球の裏側で船が止まっとったんか。
そうです。だからこそ、自分で動かせるところを動かすしかありません。
2つめは、再エネ賦課金です。
太陽光や風力で作られた電気を電力会社が買い取る費用を、電気を使う全員で少しずつ負担する仕組みです。2026年度は1kWhあたり4.18円。使えば使うほど乗ってきます。
「再エネ賦課金」って、請求書の下のほうに小さく書いてあるやつです。
あの欄、ワイ一回も読んだことないわ。何回か引き落とされとったんか。
毎月です。ずっと払ってます。
3つめは、政府の補助金です。
ここ数年、電気・ガス料金の負担軽減として国から補助が入っています。2026年も、1月から3月に続いて7月から9月の使用分に補助が入ることが発表されました。
ただし補助は恒久的な制度ではありません。あくまで一時的な値引きです。補助が切れた月に「急に高くなった」と感じるのは、値上げではなく、元の水準に戻っているだけということがあります。
🌍 日本の電気代は、世界と比べて高いのか
「日本の電気代は世界一高い」という話をよく聞きます。実際のところどうなのか、主要国と比べてみました。
いちばん高いのはイギリスで56.1円。ドイツ、イタリアと欧州勢が続きます。日本は28.58円で、8か国中5番目。「世界一高い」どころか、欧州勢よりはっきり安い水準でした。
ただし、日本より安い国もあります。アメリカが約25円、カナダと韓国にいたっては17円台。韓国は日本の6割ほどです。
あれ、日本そんなに高ないやん。ワイずっと世界一高い思てたわ。
高いのは事実です。ただ「世界一」やないだけで、安心材料にはなりません。
面白いのは、高い国と安い国の分かれ方です。ドイツは再生可能エネルギーを国策で一気に増やした結果、その買取費用と環境税が電気代に乗っています。イギリスもガス火力への依存と市場価格の高騰が響きました。逆に、カナダは水力が豊富で、韓国は国が料金を強く抑えてきた経緯があります。
つまり電気代の高さは、その国が電気をどうやって作ることに決めたかの答え合わせのようなものです。日本が輸入燃料に頼っている以上、為替と燃料価格に振り回されるのは構造的な話で、来年いきなり半額になったりはしません。
ほな待っとっても安うならへんのか。
そうです。だから自分の家の中でやれることを探すわけです。
🌞 夏の電気を食べている家電ランキング
では、家の中で何が電気を食べているのか。
そんなもんテレビに決まっとるがな。デカいし、光っとるし、いかにも電気食いそうな顔しとるやろ。
顔で決めないでください。表を見ましょう。
経済産業省 資源エネルギー庁が公表している、夏の家庭における機器別の消費割合です。
| 順位 | 機器 | 夏の消費割合 |
|---|---|---|
| 1位 | エアコン | 34.2% |
| 2位 | 冷蔵庫 | 17.8% |
| 3位 | 照明 | 9.6% |
| 4位 | 炊事(調理機器) | 6.5% |
| 5位 | 給湯 | 6.1% |
| 6位 | 待機電力 | 6.0% |
| 7位 | テレビ・録画機器 | 4.6% |
| 8位 | 洗濯機・乾燥機 | 2.3% |
このランキングの中で気になるのは、待機電力ですね。
ちまちまコンセント抜き差しするやつやろ?ようせんわ!
それでいいです。実は、もっと効くやつがありますから。
参考までに、うちの宿の実際の電気代も出しておきます。5月が5,047円、6月が6,104円、7月が7,674円。宿泊があった日数で割ると、1泊あたり約200円から290円でした。
🚑 エアコンの我慢は、節約ではなく命の問題
ランキング1位はエアコンで34.2%。数字だけ見れば「ここを削れば効く」となります。
ですが、ここだけは削ってはいけません。
東京大学大学院医学系研究科と東京都監察医務院の共同研究が、東京23区で熱中症により亡くなった1,447例を分析しています。屋内で亡くなった1,295例の内訳が、これです。
| エアコンの状況 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| あるのに、切れていた | 581例 | 44.9% |
| そもそも設置されていない | 381例 | 29.4% |
| 故障していた | 129例 | 10.0% |
| ついていた(設定ミス等) | 84例 | 6.5% |
エアコンがあるのに切れていた人と、そもそも無かった人。この2つで7割を超えています。
さらに恐ろしいのは、4番目の「ついていたのに亡くなった」84例です。研究の報告には、その中身がこう書かれています。
リモコンの温度設定は28度になっていたが、「暖房」設定になっていた。/エアコンはついていたが、送風モードや掃除モードのままであった。/送風口にホコリが詰まっており、風が出ていなかった。/リモコンの電池が切れていて使えなかった。
研究チームは、こうした「使いこなせていなかった」ケースが屋内の死亡例の16.4%を占めると報告しています。そして該当した人の約8割が、一人暮らしか高齢者だけの世帯でした。
暖房設定のまま……。これ、うちの親も普通にやりそうやわ。
実家に電話したとき、リモコンの表示を読み上げてもらうだけでも違いますよ。
エアコン代を1か月我慢して浮くのは、せいぜい数千円です。その数千円と引き換えにするものが大きすぎます。エアコンは節約の対象から外してください。
宿の運営でも同じです。うちは電気代がまるごと経費ですが、ハウスルールに「節電にご協力ください」とだけ書くのは避けたいところです。理由が書いていないお願いは、ただのケチに見えます。旅先で我慢を強いられる宿は、それだけで評価が落ちます。
ただし、書き方を変えれば話はまったく別です。
地球環境への配慮と、適正な宿泊料金を維持するため、お出かけの際は消灯とエアコンのオフにご協力いただけますと幸いです。
これなら失礼になりません。ポイントは2つあって、理由を添えていることと、「不在時」に範囲を限っていることです。滞在中の快適さには一切触れていません。値上げを避けるための協力だと分かれば、応じてくれるゲストのほうが多いはずです。
それでも消し忘れは起きます。そこで検討しているのが、スマートリモコンでエアコンを遠隔操作する仕組みです。チェックアウト後に消えていなければこちらで切る。逆に、真夏のチェックイン前に先回りして冷やしておく、という使い方もできます。到着した瞬間に部屋が涼しい宿は、それだけで印象が変わります。
ここは線引きが大事です。滞在中のゲストの部屋を、こちらの判断で勝手に操作するのは論外です。やっていいのは、誰もいない時間帯だけ。節約のつもりが、安全とプライバシーの問題に化けます。
ほな遠隔でピッと切ったろ。ゲストが出かけた瞬間にな。
出かけたかどうか、どうやって見るつもりですか。それ、宿やなく監視です。
すんません。チェックアウト後だけにしときます。
ではエアコンには手を付けられないのかというと、そうではありません。使う量を減らすのではなく、効率を上げる方向なら削れます。
- フィルターを掃除する——ホコリが詰まると、同じ涼しさを出すのに余計に働きます。2週間に1回が目安
- 室外機に日を当てない——熱を捨てる係が炎天下に置かれていると、捨てる先が熱くて仕事になりません
- 風を回す——扇風機やサーキュレーターを併用すると、同じ設定温度でも体感が下がります
- 窓の日射を遮る——入ってくる熱を減らすほうが、冷やすより安く済みます
どれも我慢を増やしません。快適さはそのままで、機械の負担だけを下げる方向です。
🧊 削るべきは、意外なあの家電だった
エアコンが削れないなら、次に大きいところを見ます。2位の冷蔵庫、17.8%です。
冷蔵庫が節約の狙い目になる理由は3つあります。
1つめ、24時間365日ずっと動いています。テレビは見ていないときは止まりますが、冷蔵庫は寝ている間も、旅行中も、ずっと働いています。効率を1%改善したときの効き方が違います。
2つめ、夏はいちばん条件が厳しくなります。冷蔵庫は庫内の熱を外に捨てて冷やしています。部屋が暑いほど、その仕事が重くなります。夏に冷蔵庫の消費が伸びるのはこのためです。
3つめ、我慢がいりません。ここが最大のポイントです。エアコンを切るのは体に負担がかかりますが、冷蔵庫の見直しは、暮らしの快適さをほとんど下げずにできます。
具体的にやることは、この4つです。
| やること | なぜ効くか |
|---|---|
| 設定を「強」から「中」へ | 夏に強にしたまま秋冬も放置しているケースが多い。中でも食品の保存には十分 |
| 詰め込みすぎない | 冷気が回らなくなり、余計に働く。棚が見えるくらいが理想 |
| 壁から少し離す | 背面や側面から熱を捨てている。塞ぐと放熱できない |
| 開けている時間を短く | 開けるたびに暑い空気が入る。迷うなら閉めてから考える |
逆に、冷凍室だけは詰めたほうが効率が上がります。凍った食品どうしが保冷剤の役割をするためです。冷蔵室はすかすか、冷凍室はぎゅうぎゅう。これが正解です。
逆やんけ。ワイずっと冷蔵庫パンパンで冷凍庫スカスカやったわ。
全部ひっくり返してるじゃないですか。

🔌 ついでに効く、手間ゼロの節約
ここで、さきほど後回しにした待機電力6.0%に戻ります。誰も使っていない家電が、コンセントにささっているだけで食べている電気です。
金額にすると、1世帯あたり年間およそ228kWh。ざっと7,000円ぶんが、何もしていない時間に消えています。
ただし、ここで正直に書いておきたいことがあります。待機電力の内訳を見ると、上位はほとんど「抜けないもの」です。
| 機器 | 待機電力に占める割合 | 抜けるか |
|---|---|---|
| ガス温水機器(給湯器) | 19% | 無理 |
| テレビ | 10% | 条件つき |
| エアコン | 8% | 夏は無理 |
| 電話機 | 8% | 無理 |
| レコーダー | 6% | 録画予約次第 |
| 温水洗浄便座 | 5% | 夏は暖房を切れる |
よっしゃ、1位のガス給湯器から抜いたろ。19%やろ?
お湯が出んくなります。真夏に水風呂で暮らす気ですか。
真夏なら水風呂で暮らすのも悪ないやん(笑)
あんたはそれで良いかも知れませんが、家族が迷惑します。
そういうわけで、待機電力を丸ごと消すのは現実的ではありません。
さきほど「ちまちま抜き差しはやりたくない」という話が出ましたが、あれで正解です。出かけるたびに炊飯器のプラグを抜くような節約は、続かないうえに効きも小さい。
やるのは一度きりで十分です。家の中を一周して、抜いても困らないものだけ抜く。それで終わり、二度と抜き差ししません。具体的には、こういうものが候補になります。
- 夏に出番のない冬の家電——電気カーペット、こたつ、電気毛布、加湿器、ヒーター。押し入れに片づけたつもりで、コードだけ壁に残っていることがあります
- 使っていない部屋のテレビとレコーダー——子ども部屋や寝室。録画予約が入っていないなら抜けます
- 年に数回しか出番のないプリンター——待機電力は意外と大きめ。使うときだけ挿すで十分
- 遊ばなくなった据置ゲーム機——本体を待機させたまま何年も、というケース
- 充電が終わっている充電器——電動歯ブラシ、シェーバー、使っていないモバイルバッテリー
- 使わなくなった固定電話やFAX——回線ごと解約していないだけ、という家も多いはずです
そして、もし心当たりがあればこれがいちばん効きます。
ほとんど空っぽの2台目の冷蔵庫。これは待機電力ではなく本体が動きっぱなしなので、桁がひとつ違います。中身を1台目に移せるなら、その日から効きます。
逆に、抜いてはいけないものもはっきりしています。冷蔵庫、録画予約の入ったレコーダー、Wi-Fiルーター、時計や設定が飛ぶ機器。ここを抜くと、節約より面倒のほうが勝ちます。
照明も同じで、まだ蛍光灯や白熱電球が残っているならLEDに替えるだけで消費が下がります。交換は一度きりで、あとは何年も効き続けます。
📺 テレビだけが、唯一「無くせる」家電だった
ここまで、エアコンと冷蔵庫を見てきました。どちらも「無くす」という選択肢がありません。エアコンを捨てたら命に関わりますし、冷蔵庫を捨てたら食べ物が腐ります。できるのは効率を上げることだけです。
ところが、ランキングの中にひとつだけ、性質のちがう家電があります。テレビです。
テレビが無くなって困ることを、真面目に考えてみました。ニュースはスマホで見られます。映画やドラマは配信で見られます。天気予報もスマホです。テレビが無くて死ぬ人はいません。
そして、テレビだけが持っている費用があります。NHKの受信料です。
| テレビにかかる費用 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 電気代(43型の目安) | 約200〜430円 | 約2,300〜5,200円 |
| NHK受信料(地上契約) | 1,100円 | 13,650円 |
| NHK受信料(衛星契約) | 1,950円 | 24,185円 |
テレビの本当のコストは、電気代ではありません。受信料のほうが3倍から10倍大きいのです。衛星契約なら、電気代と合わせて年間およそ3万円。
消費電力ランキングでは7位。ところが家計に出ていく金額で並べ直すと、順位が一気に上がります。電気の話だけをしていると、この費用は永遠に視界に入りません。

ほらぁ!さっき言うたやろ!テレビや言うたやろワイ!
「デカいし光っとるから」でしたよね。理由が1ミリも合ってません。
受信料については、法律に定めがあります。放送法では、NHKの放送を受信できる設備を設置した人は受信契約を結ぶ必要がある、とされています。テレビがあるのに払わない、という話ではありません。
ただし、受信機がすべて無くなった場合は解約の対象になります。処分して、解約届と理由を証明する書類を出す、という手続きです。前払いしている分があれば返金されます。
ちょい待ち。ワイの宿、デカいテレビ入れとるやんけ。記事と言うてること違うやろ。矛盾や矛盾!
宿のテレビは設備投資です。お客さんが期待するものを置いて、その対価を宿泊料でもらってます。
ほな、うちのリビングのテレビは?
誰の期待にも応えてません。つけっぱなしで寝てるだけです。
これは大事な線引きなので、はっきり書いておきます。お金を生んでいる設備と、なんとなく置いてある設備は別物です。うちの宿にテレビを入れた理由は以前の記事に書きましたが、あれは宿泊料に跳ね返る投資として判断しました。
一方、家のテレビはどうか。「一日どれくらい見ているか」を思い出してみて、その時間に年間13,650円から24,185円の価値があるなら、堂々と払えばいいと思います。
問題は、ほとんど見ていないのに置いてある場合です。見ていない時間ぶんの受信料も、同じだけ請求されます。つけっぱなしで寝落ちしている時間には、電気代と受信料の両方がかかっています。
もっとも大きいのは、実はお金ではないかもしれません。なんとなくつけて、なんとなく2時間経っている。あの時間のほうが、年3万円より高くつく可能性があります。
やめてくれ。その話がいちばん痛いわ。
もちろん、テレビが好きな人は持っていればいいと思います。野球を大画面で見る幸せを否定する気はまったくありません。ここで言いたいのは、この家電だけは「持たない」という選択肢が存在するということです。エアコンと冷蔵庫には、その選択肢がありません。
捨てるところまでいかなくても、画面の明るさを最大から中間に落とすだけで年間700円ほど下がります。設定を一度触るだけなので、これはやっておいて損がありません。
🏷 エアコンの2027年問題、高い機種で元は取れるのか
最後に、これから買い替えを考えている人向けの話です。
2027年4月から、家庭用エアコンの省エネ基準が引き上げられます。基準を満たさない機種は、製造も販売もできなくなります。いわゆる「エアコンの2027年問題」です。
何が起きるかというと、いま店頭に並んでいる安い普及モデルが姿を消します。結果として、選べる価格帯が上に寄っていくと見られています。
「トップランナー制度」といって、いちばん省エネな製品の性能を、次の基準にする仕組みです。
学年で一番の子のテストの点数が、来年から赤点のラインになるようなもんか。
……たまにいいこと言いますね。
ここで気になるのが、「じゃあ高い省エネモデルを買えば、電気代で元が取れるのか」です。実際の製品で計算してみました。
同じメーカーの同じ畳数で、省エネ性能だけが違う2機種の比較です。
| 項目 | 基準未達(87%) | 基準達成(100%) |
|---|---|---|
| 本体価格 | 124,890円 | 206,400円 |
| 年間の電気代 | 22,227円 | 19,530円 |
| 差額 | 本体は81,510円高い/電気代は年2,697円安い | |
ここから回収年数を出すと、こうなります。
81,510円 ÷ 年2,697円 = 約30年。エアコンの寿命はおよそ10年から15年です。電気代だけでは、元は取れません。
ただし、これは定価どうしの比較です。実売価格では差が縮みますし、上位機種には自動清掃やセンサーなど省エネ以外の機能も入っています。それらに価値を感じるなら買う理由になります。
言いたいのは「電気代がお得だから高いエアコンを買う」という理屈は成り立ちにくいということです。逆に、10年以上前の古い機種を使っているなら、買い替えの効果はこの比較よりずっと大きくなります。省エネ性能はこの十数年で大きく伸びているからです。
ほな結局、いつ買うのが正解なんや。
壊れる前です。真夏に壊れると、工事が何週間待ちになりますから。
📌 まとめ
- 電気代が上がる理由は、燃料費調整額・再エネ賦課金(2026年度は1kWh 4.18円)・補助金の増減。待っていても構造的に安くはならない
- 今年はホルムズ海峡が効いている。日本のLNGの海峡依存は6.3%と低いが、値段は世界の取り合いで決まるため無関係ではいられない。しかも反映は数か月遅れ
- 日本の家庭用電気料金は28.58円で8か国中5番目。イギリス(56.1円)やドイツ(45.94円)よりはっきり安く、「世界一高い」は事実ではない
- 1位のエアコン(34.2%)は節約の対象にしてはいけない。屋内の熱中症死亡例は、エアコンが切れていた・無かったケースで7割超。削るなら量ではなく効率(フィルター・室外機・日射)
- 2位の冷蔵庫(17.8%)は我慢ゼロで削れる。設定を「中」に、詰め込みすぎない、壁から離す。冷凍室だけは逆に詰める
- テレビは消費電力では7位(4.6%)。ただし家計で見ると話が変わる。受信料は地上13,650円・衛星24,185円で、電気代の3〜10倍
- そしてテレビだけが「持たない」を選べる家電。エアコンと冷蔵庫には、その選択肢がない
- 2027年の省エネ基準強化で安いエアコンは減るが、高性能機の差額を電気代で回収するには約30年。元を取る目的では買わない
節約の順番は、命に関わるものから遠い順です。まず要らないものを手放す。次に我慢のいらないところを詰める。エアコンは、最後まで守ってください。
よっしゃ、ほな冷蔵庫を「中」にして、あとはエアコン効かせて涼むわ。
正解です。ついでに、室外機に日が当たってへんか見てきてください。
室外機て、あの外でずっと唸っとるやつか。……いま見てきたけど、カンカン照りやったわ。
家の中でいちばん過酷な労働環境ですね。しかも文句も言わずに。
すまん。今まで一回も労うたことなかったわ。
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