どうも、とんマヨです。大阪で民泊を運営しながら、このブログを書いています。
うちの宿は、泊まりに来る方のほとんどが海外の方です。予約が入ってからチェックアウトまで、メッセージのやり取りは全部英語になります。
英語は得意ではありません。なので翻訳を使いながら、失礼のないように、丁寧に、丁寧に書いていました。
その結果どうなったか。返信のほぼ全部が「Sorry」から始まるようになっていました。
とんマヨさん、これ全部の返信の1行目です。「Sorry for the late reply」「Sorry to bother you」「Sorry for the inconvenience」
丁寧やろ。日本のおもてなしや。
おもてなしというか、ずっと謝ってる人です。相手からしたら「この宿、何かやらかしてるんか?」ですよ。
この記事は、英語の教科書の話ではありません。謝ってばかりの返信をやめたら、ゲストとのやり取りが実際に楽になったという、運営現場の話です。
🚪 きっかけは、備品を壊したゲストへの請求文でした
あるとき、滞在中に部屋の建具を破損されたことがありました。修理代を請求することになり、その文面を考えていたときのことです。
最初に書いた下書きは、こんな出だしでした。
Sorry to bother you about this, but...
(こんなことでお手を煩わせて申し訳ないのですが……)
読み返して、手が止まりました。
壊したのは相手です。相手も自分から「払います」と言ってくれていました。それなのに、請求する側のこちらが謝罪から入っている。
ワイの謝罪、圧倒的……無意味……!
しかも実務的にまずいのです。金額の話を謝罪から始めると、文章全体が「言いにくそう」な空気をまとってしまいます。相手からすれば「あ、これは押せば引っ込むやつかな」と読める余地が生まれます。
実際に送ったのは、こう書き直したものです。
Thank you for letting me know about this so quickly.
(すぐに知らせてくれてありがとうございます)
そこから、状況・金額・支払い方法を淡々と並べました。支払いは問題なく完了しました。
🤯 なぜ返信が「Sorry」だらけになるのか
理由は単純で、日本語で考えてから英語にしているからです。
日本語のビジネス文は「すみません」で始めるのが自然です。返信が遅れてすみません。何度もすみません。お手数をおかけしてすみません。これを1つずつ英語に置き換えると、当然Sorryが並びます。
ただ、日本語の「すみません」は、謝罪というより会話の潤滑油として使われています。半分はあいさつです。
英語のSorryには、その潤滑油としての役割があまりありません。書いた分だけ、謝罪として受け取られます。
日本語の「すみません」を全部そのまま訳すと、英語では謝りすぎになるんですね。
ワイ、翻訳に忠実すぎたんか。真面目が仇になっとる。
もうひとつ、宿側の事情もあります。レビューが怖いのです。★を下げられたくないので、先回りして謝ってしまう。この気持ちは、ホストをやっている方なら分かってもらえると思います。
🔁 「ありがとう」に置き換えた4つの場面
実際に運営していて頻度が高い4つの場面で、書き出しを変えました。
1. 返信が遅れたとき
清掃中や移動中で、数時間返せないことがあります。以前は「Sorry for the late reply」でした。今は「Thank you for waiting」(待ってくれてありがとう)にしています。事実として相手は待ってくれたので、こちらのほうが正確でもあります。
2. 設備について指摘をもらったとき
以前、ヨーロッパから来た方に「2階の部屋の匂いが気になる」と言われたことがあります。古い木造家屋で、雨の日に出やすい匂いでした。
ここで「Sorry for the inconvenience」だけ返すと、問題を認めただけで終わります。実際に送ったのは「Thank you for telling me」から始めて、除湿の使い方と消臭剤の場所を続けたものでした。返ってきたのは絵文字つきのお礼で、レビューも下がりませんでした。
3. 書類の提出をお願いするとき
うちは法律上、泊まる方全員の情報を事前に登録してもらう必要があります。人数が多いグループだと、何人か出し忘れることがよくあります。
催促のたびに「Sorry to ask again」と書いていましたが、これは悪手でした。謝りながら催促すると、催促の強さが消えます。今は「Thank you for sending yours already」(もう送ってくれた分、ありがとう)と、届いた分への感謝から入って、残りをお願いしています。
4. こちらの説明不足で相手が困ったとき
これは唯一、はっきり謝る場面です。ただし謝罪だけで終わらせず、「何が起きたか」「どう直すか」まで書きます。ここは後述します。
🤔 「それは責任逃れでは?」という反論について
ここまで書いて、自分でも引っかかった点があります。
謝るべきところで「ありがとう」に逃げているだけではないか。宿側の落ち度をごまかしていないか。
これは正当な指摘だと思います。実際、やり方を間違えるとそうなります。
私なりの線引きは、原因がどちらにあるかです。
| 状況 | 書き出し | 理由 |
|---|---|---|
| 宿側に落ち度がない(建物の特性・相手の勘違い・単なる質問) | Thank you から入る | 謝る理由がない。謝ると逆に落ち度を認めたことになる |
| 宿側に落ち度がある(説明不足・設備の不具合・こちらのミス) | I'm sorry から入る | ここで謝らないほうが不誠実。逃げてはいけない |
| どちらとも言えない | 感謝→事実→次の手 | 責任の話を保留して、先に解決へ進める |
つまり減らしたのは「無条件のSorry」だけで、謝るべき場面での謝罪はむしろ増やしました。全部謝っていた頃より、1回の謝罪が重くなったと思います。
🧯 それでも、はっきり謝るべき場面はあります
実際にありました。案内の書き方が不十分で、到着したゲストが建物に入れなくなったことがあります。夜でした。
このときは迷わず謝りました。原因はこちらの説明にあったからです。
ただ、書いた順番はこうです。
- まず謝る(ここは短く、はっきり)
- いま何をすればいいかを最初に伝える(相手は外で困っている)
- なぜ起きたかを説明する
- 今後どう直すかを伝える
順番が大事です。困っている相手に、長い謝罪文を読ませてはいけません。謝罪は短く、解決策は具体的に。
夜中に締め出されてる人に、5行の謝罪文を読ませたらあかんですね。
読んどる場合ちゃうもんな。まず入れたれ、ちゅう話や。
📋 そのまま使える言い換え表
私が実際に使っている書き出しです。翻訳ツールに頼りきる前に、この形を先に決めておくと文章が安定します。
| 場面 | 前(謝りすぎ) | 後(今) |
|---|---|---|
| 返信が遅れた | Sorry for the late reply. | Thank you for waiting. |
| 不備を指摘された | Sorry about that. | Thank you for letting me know. |
| 催促する | Sorry to ask again, but... | Thank you for sending yours already. Could I also ask... |
| お願いごとをする | Sorry to bother you. | Thank you in advance. |
| こちらのミス | (同じくSorry) | I'm really sorry. ここは変えない |
最後の行がこの表の肝です。全部を置き換えてはいけません。
🤖 AIに下書きさせるときのプロンプト(コピペ可)
ここまでの話は、結局「毎回この判断をする」ということです。正直、返信のたびにやるのは面倒です。
私はメッセージの下書きをAIに作らせているので、この判断そのものをAIに渡してしまうことにしました。以下をそのまま貼って、続けて状況を書くだけです。
使ってみると分かりますが、ルール2を入れておかないとAIは謝罪を全部消してきます。「Sorryを減らして」とだけ頼むと、こちらのミスのときまで感謝で始まる、なかなか不誠実な文章が出てきます。
ワイのミスやのに「教えてくれてありがとう!」で始まる文が出てきた時は笑たわ。誰やお前。
AIは言われたとおりにやるだけです。「どこは変えたらあかんか」を先に渡すのがこっちの仕事ですよ。
ここが、AIに文章を任せるときの一番のコツだと思っています。やってほしいことより、やってほしくないことを書くほうが効きます。
🪞 変わったのは、たぶん自分の側でした
ゲストの反応が劇的に変わったかというと、正直そこまでではありません。もともと大きなトラブルは多くありませんし、評価も急に上がったりはしていません。
はっきり変わったのはこちらの気持ちのほうでした。
メッセージが届くたびに身構えて、まず謝る文面を考える。あの状態を続けていると、運営そのものが「怒られないための作業」になっていきます。
書き出しを変えただけで、通知が来たときの緊張が減りました。同じ内容を伝えているのに、自分を下げずに伝えられるようになったからだと思います。
そして、これは宿の話だけで終わりませんでした。
🇯🇵 「すみません」は、日本人の反射になっている
気づいたのは、本業のメールでも同じことをしていた、ということです。
お礼を言う場面で「すみません」。物を受け取って「すみません」。道を譲ってもらって「すみません」。日本語で暮らしていると、これはもう反射です。私も40年以上そうしてきました。
丁寧で、角が立たなくて、便利な言葉です。ただ、便利すぎて全部これで処理してしまうのが問題なのだと思います。
荷物持ってもろて「すんません」、席譲ってもろて「すんません」、ビール注いでもろて「すんません」。ワイ、一日何回謝っとんねん。
それ全部「ありがとう」で成立しますよ。しかも言われた側は、そっちのほうが嬉しいです。
ここが本質だと思っています。「すみません」は自分の位置を下げて場を収める言葉で、「ありがとう」は相手の行為を認める言葉です。伝えている内容は同じでも、相手に残るものが違います。
荷物を持ってくれた人に「すみません」と言うと、その人は「迷惑をかけさせた側」になります。「ありがとう」と言えば、「いいことをした人」になります。
謝られるより、感謝されるほうが気分がいい。それだけの話です。
「ごめん」と言われるより「ありがとう」と言われたほうが気分がいい。これは確かなことだと思うので、私はできるだけ意識してそうするようにしています。
それに、謝ってばかりいると自分で自分を「迷惑をかけている人」だと定義し続けることになります。これは疲れます。しかも本当に謝るべきときの1回まで、安く見えてしまう。
言葉を丁寧にするのをやめよう、という話ではありません。丁寧さの置き場所を、謝罪から感謝に移すだけです。減らすのではなく、動かす。
宿の運営でメッセージ対応そのものに悩んでいる方は、民泊って実際なにが大変?半年やったホストの本音ランキングのほうに、現場の全体像をまとめています。
✅ まとめ:謝罪は、多いほど効かなくなる
- 日本語の「すみません」は半分はあいさつだが、英語のSorryは全部が謝罪として届く
- 宿側に落ち度がない場面は、Thank you から入るほうが正確
- 謝りながらの催促は、催促として機能しない
- 逆に、こちらのミスのときは短く、はっきり謝る。ここは絶対に置き換えない
- AIに下書きさせるなら、「どこは変えてはいけないか」を先に渡すのがこちらの仕事
- 変わったのはゲストの反応より、自分の消耗のしかただった
- これは英語に限らない。日本語の「すみません」も、多くは「ありがとう」で成立する
毎回謝っていると、本当に謝るべきときの1回が軽くなります。丁寧さを削るのではなく、置き場所を変えるだけの話です。
ということは、僕への「悪かったな」も減らしてええってことですか。
せやな。今日から「いつもありがとうな」でいくわ。
いや、そこは謝るとこです。落ち度、完全にそっちにあるんで。




